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Stake.comのマーケティング:仮想通貨カジノのスタートアップが市場リーダーになるまで

Published: 2月 1, 2024 - Updated: 9月 29, 2026

読了まで 2 分

Stake.com(ステークドットコム、通称ステークカジノ)は、2017年に小さな仮想通貨カジノとして始まりました。フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が引用したRegulus Partnersの推計によると、2022年のゲーミング粗収益(GGR)は約26億ドルに達しています。マーケティングも事業とともに大きくなりました。最初の施策は数人のTwitchストリーマーへの報酬でしたが、2023年にはドレイク(Drake)、UFC、エバートン、そしてF1チームがStakeのパートナーに名を連ねていました。

本記事では、2025年の規制強化に至るまでのStakeのマーケティングを年ごとに振り返り、予算の小さいオペレーターでも応用できる5つの教訓で締めくくります。なお、日本国内からオンラインカジノで賭けをすることは違法です。

Stakeの概要

  • 創業:2017年、エド・クレイブン(Ed Craven)とビジャン・テヘラニ(Bijan Tehrani)が創業。キュラソーのライセンスのもと、Easygoグループの一員としてMedium Rare N.V.が運営しています。
  • 売上:2022年のGGRは約26億ドル(FT / Regulus Partners)、2024年の総収益は47億ドル(Forbes)。
  • 主なチャネル:ライブ配信のストリーマー、著名人アンバサダー、スポーツスポンサー(UFC、プレミアリーグ、F1)、そして創業者が2022年に立ち上げた配信プラットフォームKick(キック)。
  • 逆風:2022年のTwitchによるギャンブル配信の禁止、2025年の英国撤退、米国各州によるStake.usへの措置。

まずはストリーマー:Stakeのインフルエンサー戦略(2017〜2019年)

Stakeは創業直後から、バナー広告や単発のインフルエンサー投稿を買う代わりに、ストリーマーに報酬を払ってサイトでのプレイをライブ配信してもらいました。配信の説明欄には紹介コードを載せました。視聴者は実際のベットや勝ち負けを目にし、ストリーマーのリンクからそのまま登録できました。初期の例の一つが、2017年8月にStakeの宣伝を始めたTwitchストリーマーのOleg Barcaです。

2017年8月、紹介コード付きでStakeでのプレイを呼びかけるOleg Barcaの投稿
Stakeのストリーマー施策の最初期の例(2017年8月)。出典:X

起用するストリーマーは2019年まで着実に増えました。パートナーの多くは、マイクロインフルエンサー、ゲーム実況のストリーマー、仮想通貨系の発信者など、オーディエンスの小さいアカウントでした。

この時期、StakeはX(旧Twitter)のインフルエンサーと、定番ながら効果の高い次の手法も積極的に使っていました。

  • 他アカウントとの共同プレゼント企画
  • 賞品付きのチャレンジ企画
  • 定期的なプレゼント企画
  • 政治イベントを対象にしたベットの宣伝
2018年11月、StakeとPrimediceがXで実施した250ドル相当のビットコインのプレゼント企画の投稿
Stakeの典型的なプレゼント企画:フォロー、リポスト、コメントで応募。出典:X
2018年12月、Stakeが協賛したFlashyのプレゼント企画のX投稿
パートナーとのプレゼント企画で、Stakeは自社のフォロワー以外にもリーチを広げました。出典:X

2020年:コロナ禍で伸びたオンラインカジノとライブ配信の波に乗る

Stake.comは2019年末まで着実に成長していました。転機はパンデミックでしたが、成長をもたらしたのはパンデミックそのものではありません。その影響にStakeのマーケティングチームがいち早く対応したことです。

「online casino」の世界での検索人気度を示すGoogleトレンドのグラフ(2016〜2021年)
「online casino」の検索人気度は2020年春に急上昇しました。出典:Googleトレンド

2020年に各国でロックダウンが始まると、二つのことが同時に起きました。オンラインカジノの検索人気度が急上昇し(上のグラフ参照)、家から出られない人々がTwitchでライブ配信を見る時間も増えました。Stakeにはすでにストリーマーのネットワークがあったため、視聴者が集まるタイミングで起用するストリーマーを一気に増やせました。

同じRegulus Partnersの推計によると、StakeのGGRは2020年の約1億500万ドルから、2021年には12億ドルに増えました。創業者エド・クレイブンを取り上げた2022年の記事「The Twitchification of Marketing」は、インフルエンサーとライブ配信をStakeにとって最も効果的なマーケティングチャネルとしています。


2021〜2022年:スポーツスポンサーでメジャーの舞台へ

最初の大型スポーツ契約は2021年3月です。StakeはUFCの史上初となる中南米・アジア地域の公式ベッティングパートナーに就任しました(ブラジルを除く)。UFCミドル級王者のイスラエル・アデサニヤが、Stake初のブランドアンバサダーになりました。2021年7月にはワトフォードFCと複数年のメインパートナー契約を結び、Stakeのロゴが初めてプレミアリーグのユニフォームの胸に入りました。「stake.com」の検索人気度は、二つの発表の間にあたる2021年5月にピークを迎えています。

「stake.com」の世界での検索人気度を示すGoogleトレンドのグラフ(2016〜2021年、ピークは2021年5月)
「stake.com」の検索人気度は2021年5月にピークを迎えました。出典:Googleトレンド

その後も契約が相次ぎました。2022年2月にはUFCとの提携がブラジルにも拡大され、元マンチェスター・シティのストライカー、セルヒオ・アグエロがアンバサダーに加わりました。2022年6月には、エバートンが2022/23シーズンからの胸スポンサーとしてStakeを発表しました。契約額は年間1,000万ポンドと報じられています。各提携には、地域別のウェルカムボーナス、試合日やファイトナイトのプレゼント企画、抽選会といった独自のプロモーションが付いていました。スポンサー契約が、そのまま新規顧客の獲得キャンペーンとしても機能したわけです。


ドレイクとStake:著名人の大勝ちをコンテンツに変える

2022年3月、ドレイクはInstagramでStakeとのパートナーシップを発表しました。エド・クレイブンによると、ドレイクは契約の数カ月前からすでにStakeでプレイしていました。

ドレイクは広告には出演しませんでした。自身の高額ベットのセッションを配信し、スポーツや格闘技の試合に数百万ドル単位で賭けたスクリーンショットを投稿しました。大勝ちも大負けもニュースの見出しや切り抜き動画になり、Stakeの名前は追加の広告費をかけずに一緒に広まりました。

2023年3月、フィナンシャル・タイムズは事情に詳しい2人の関係者の話として、契約額は年間約1億ドルだと報じました。ドレイク側もStake側も、この金額を認めていません。


Twitchのギャンブル配信禁止とKickの立ち上げ

ライブ配信はStakeの中核チャネルでした。裏を返せば、そこが止まれば集客全体が止まる単一障害点でもありました。2022年9月20日、Twitchは、米国または十分な消費者保護のあるその他の法域でライセンスを受けていないサイトについて、スロット、ルーレット、ダイスゲームの配信を禁止すると発表しました。Stakeは、Rollbit、Duelbits、Roobetとともに名指しされました。禁止は2022年10月18日に発効し、スポーツベッティング、ファンタジースポーツ、ポーカーの配信は引き続き認められました。

Stakeの創業者であるエド・クレイブンとビジャン・テヘラニは、自前の配信プラットフォームを作ることで対応しました。Kickは2022年後半に始まり、2人のEasygoグループが所有しています。法的にはカジノの運営会社とは別の会社ですが、Stakeのストリーマーにとってはギャンブル配信ができる場所になりました。

KickもStakeと同じ方法で視聴者を集めました。大型のクリエイター契約です。2023年6月には「xQc」ことフェリックス・レンジェル(Félix Lengyel)と2年間の非独占契約を結びました。代理人によると、契約額は保証額7,000万ドル、インセンティブ込みで最大約1億ドルです。同じ月にAmouranthも契約し、Adin Rossは2023年の早い時期にすでに加わっていました。現在、Kickはカジノストリーマー(英語)が集まる主要なプラットフォームの一つです。


2023〜2026年:サッカー、F1、そして強まる規制

2023年1月、StakeはF1のザウバーチームの共同タイトルスポンサーになりました。チームは同年にAlfa Romeo F1 Team Stake、2024年と2025年はStake F1 Team Kick Sauberの名で参戦しました。ギャンブル広告が禁止されている国のレースでは、Stakeの代わりに姉妹ブランドのKickを掲げた「キックザウバー(Kick Sauber)」の名で走りました。2026年からはアウディのワークスチームになっています。

すべての契約が実現したわけではありません。2023年7月、チェルシーはファンの反対を受け、Stakeとの胸スポンサー契約の交渉を打ち切りました。

規制も追いついてきました。英国でStakeは、ライセンスを持つTGP Europeとのホワイトレーベル提携を通じて事業を行っていました。アダルトコンテンツの出演者を起用したプロモーション動画について英国賭博委員会(Gambling Commission)が調査を行った後、TGP Europeは2025年2月に新規登録を停止し、Stakeは2025年3月11日までに英国市場から撤退しました。

米国でStakeは、スウィープステークス(懸賞)型のStake.us(2022年開始)を運営しています。これに対し、2023年のミシガン州をはじめ、複数の州の規制当局が営業停止を求める警告書を送りました。2025年8月には、ロサンゼルス市検事がStake.us、Easygo、Kick、創業者らを相手取り訴訟を起こしました。

エバートンとの契約は英国撤退後も続きました。2026/27シーズンからは、ギャンブルブランドの胸スポンサーを禁じるプレミアリーグの自主規制が発効したため、Stakeはエバートンの袖スポンサーに移り、胸にはCMC Marketsが入りました。


Stakeのマーケティング年表(2017〜2026年)

時期出来事チャネル
2017年8月初期のストリーマーが紹介コード付きでTwitch上でStakeを宣伝ライブ配信
2018年Primediceなどのパートナーと、Xでプレゼント企画を実施SNS
2020年ロックダウンでカジノとTwitchの利用者が増えるなか、起用ストリーマーを拡大ライブ配信
2021年3月UFCの中南米(ブラジルを除く)・アジア地域の公式ベッティングパートナーに就任、イスラエル・アデサニヤと契約スポーツ
2021年7月ワトフォードFCと複数年のメインユニフォームスポンサー契約を締結サッカー
2022年2月UFCとの契約にブラジルを追加、セルヒオ・アグエロと契約スポーツ
2022年3月ドレイクとのパートナーシップを発表著名人
2022年6月エバートンの胸スポンサーに就任(年間1,000万ポンドと報道)サッカー
2022年スウィープステークス型のStake.usを開始米国市場
2022年10月TwitchがStakeのスロット、ルーレット、ダイスゲームの配信を禁止プラットフォームリスク
2022年後半Stakeの創業者がKickを立ち上げ自社系プラットフォーム
2023年1月Alfa Romeo F1 Team Stakeの共同タイトルスポンサーに就任F1
2023年6月KickがxQcと契約(保証額7,000万ドル)ライブ配信
2024〜2025年チームがStake F1 Team Kick Sauberとして参戦F1
2025年3月英国市場から撤退規制
2025年8月ロサンゼルス市検事がStake.us、Easygo、Kickを提訴規制
2026/27シーズンエバートンの胸スポンサーから袖スポンサーへ移行サッカー

Stakeのマーケティングからオペレーターが学べること

一人のアンバサダーに年間1億ドル(報道ベース)を払えるオペレーターはほとんどいません。ただ、Stakeの手法を分解すると、小さな規模でも使える要素が見えてきます。

  1. ストリーマーに自社サイトでライブプレイしてもらう。Stakeの配信は、一本一本が製品デモとして機能しました。私たちの経験では、チャットが活発な中規模ストリーマー数人のほうが、大物一人よりコンバージョンが高いことがよくあります。ICODAのギャンブルブランド向けインフルエンサーマーケティングの進め方もご覧ください。
  2. すべてのスポンサー契約をプロモーションと結びつける。Stakeは契約ごとに地域別のボーナスやプレゼント企画を組み合わせ、ロゴの露出だけでなく新規登録も獲得しました。
  3. クリエイターを複数のプラットフォームに分散させる。Twitchの禁止措置で、Stakeの中核チャネルは一夜にして断たれました。StakeにはKickを作る余力がありましたが、小規模なブランドは最初からKick、YouTube、X、Telegramを併用すべきです。
  4. スポーツスポンサーで信頼性を得る。UFC、プレミアリーグ、F1との契約によって、キュラソーライセンスの仮想通貨カジノが主要スポーツのブランドと並ぶ存在になりました。同じことができるチャネルはほかにほとんどありません。
  5. 規制と評判のコストを予算に組み込む。Stakeの成長には、英国撤退、米国での警告書、訴訟が伴いました。隠れたプロモーションにも固有のリスクがあります。RedditでのStakeのステルスマーケティング(英語)に関するICODAの調査では、ギャンブルと無関係なサブレディットの個人的な体験談に、Stakeへの言及が織り込まれていました。こうしたパターンはブランドのオンライン上の評判(英語)を左右します。

よくある質問

Stake.com(ステークカジノ)は、2017年にエド・クレイブンとビジャン・テヘラニが創業した仮想通貨カジノ兼スポーツベッティングサイトです。キュラソーのライセンスのもとでMedium Rare N.V.が運営し、創業者のEasygoグループに属しています。ストリーマー、著名人、スポーツスポンサーを軸にしたマーケティングで成長し、2022年のゲーミング粗収益(GGR)は約26億ドルと推計されています。

違法です。警察庁によると、海外で合法的に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内から接続して賭博をすれば犯罪になります。刑法185条の賭博罪は50万円以下の罰金または科料、常習の場合は186条の常習賭博罪で3年以下の拘禁刑です。さらに2025年6月に成立したギャンブル等依存症対策基本法の改正法(2025年9月25日施行)により、国内の不特定の人に違法なオンラインカジノのサイトやアプリを示す行為や、そこへ誘導する情報の発信も禁止されました。

Stakeは2017年にエド・クレイブンとビジャン・テヘラニが創業しました。カジノはキュラソーのライセンスのもとでMedium Rare N.V.が運営し、創業者のEasygoグループに属しています。Forbesは2024年6月、2人の純資産をそれぞれ13億ドルと初めて推計しました。

双方とも金額を公表していません。2023年3月、フィナンシャル・タイムズは事情に詳しい2人の関係者の話として、契約額は年間約1億ドルだと報じました。契約は2022年3月に発表されています。

直接の傘下ではありません。Kickは別会社ですが、Stakeの創業者であるエド・クレイブンとビジャン・テヘラニが共同で立ち上げ、2人のEasygoグループが所有しています。Twitchが、Stakeを含むライセンスのないカジノサイトの配信を禁止した後、2022年後半にサービスを始めました。

2022年9月、Twitchは米国または十分な消費者保護のあるその他の法域でライセンスを受けていないサイトについて、スロット、ルーレット、ダイスゲームの配信を禁止し、対象としてStakeを名指ししました。禁止は2022年10月18日に発効しました。スポーツベッティング、ファンタジースポーツ、ポーカーの配信は引き続き認められました。

主な契約は、UFC(2021年から、中南米・アジア地域)、ワトフォードFC(2021年)、エバートン(2022/23シーズンから胸スポンサー、2026/27シーズンから袖スポンサー)、F1のザウバーチーム(2023年はAlfa Romeo F1 Team Stake、2024年と2025年はStake F1 Team Kick Sauber)です。

フィナンシャル・タイムズはRegulus Partnersの推計を引用し、Stakeの2022年のゲーミング粗収益(GGR)を約26億ドルとしています。2021年は12億ドルでした。Forbesは2024年の総収益を47億ドルと報じています。

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